ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「ごめん。でも聞いたのは葵だろう」
「そうだけど……!」
葵は赤面したり、怒ったり、唇を尖らせたりしながら、テーブルの上を拭いたあと、「ビール臭くなった……」と、ため息をついた。
「じゃあ、もう一回温泉に入ればいい」
そこで、テーブルの向こうで、頬杖をついた蒼佑が、ニコニコと提案する。
「え?」
「暗くなったから、俺も一緒に入るけど。いいよね。暗いから」
念を押すように言われて、葵は言葉に詰まる。そうなると、本当は、明るかろうが暗かろうが、恥ずかしいから嫌だとは言えなくなってしまった。
まさかの小一時間で、一緒に入る羽目になろうとは――。
葵は呆然としながら、ニコニコ笑顔の蒼佑を見詰めたのだった。
「――ほら、固くならないで……葵」
結局、そのまま食事は下げてもらい、蒼佑と葵は、露天風呂へとふたりで移動した。