ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「そんなこと、言ったって……」
葵は震えながら、蒼佑を上目遣いで見上げる。
まだお互い浴衣は着たままだ。これを脱がなければ露天風呂には入れないのだが――。一歩先に進む勇気が出ない。
「そうか……困ったな」
蒼佑はかすかに笑って、葵の浴衣の襟の内側に指を差し入れて、上から下へとゆっくりと動かす。ほんの少し、指先がひっかかる程度だが、妙になまめかしい。脱がそうかどうしようか、迷っているような仕草だ。
「困ったって……あなたは、全然困ってないと思うけど」
きっとこんなに恥ずかしいのは自分だけだ。
身を引きながら、思わず唇が子供のようにとがってしまう。
「そんなことはない。困ってる。君がかわいいから……すごく、困っている」
蒼佑は急にわざとらしく真顔になると、葵のあご先を指さきですくうように持ち上げ、ささやいた。
「やっぱり、俺が脱がせてあげようか」
そしてそのまま葵の体を抱き寄せると、器用に帯を外してしまった。茶羽織の下で、浴衣がふわりと体から離れていく。