ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
すっかり日が落ちた露天風呂は、また違った趣があった。
足元を照らす間接照明は最低限の明るさだが、今夜は月が明るいので、足元が悪いと言うこともない。
四、五人はゆっくり入れそうな岩の露天風呂は海に面していて、耳を澄ますと、ざぁ、ざぁ、と波の音が聞こえてきた。
「葵、おいで」
蒼佑は露天風呂の縁に両腕を乗せ、その上に顔を乗せて、こちらを向いていた。
「怖くないから。いきなり取って食ったりしないから」
そういう蒼佑は、余裕しゃくしゃくだ。あれが大人の対応というものなのだろうか。一方、自分はどうだ。
「――別に怖がってなんかないですけど」
どうも、恥ずかしいが一周回って、ツンツンしてしまう。
当然、嫌なわけではないのだ。
自分だって蒼佑のことを思っていて、彼とそうなりたいと思っている。
なのに、恥ずかしがっている自分が子供っぽく感じて、わかっているのに、素直になれない。
我ながらかわいくないと思うが、どうしようもない。