ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「いや、ごめん。ほんとちょっと大丈夫かなって、思っただけ。意味はないよ。さ、ごはんも急いで炊かないと!」
ナツメは何事もなかったかのようににっこりと笑って、なんともないという表情をしたのだった。
それから一時間後、蒼佑がやってきて食事は和やかに終わった。ナツメも普段通りだ。撮影の話や学校の話をして、蒼佑や葵を大いに笑わせてくれた。
その後、お茶を飲んでから、すぐ近くにある駐車場まで蒼佑を見送る。
「葵、抱きしめさせて」
蒼佑は甘く囁いて、ドアの前で葵の体を引き寄せた。
「ちょっ、ちょっと……」
さすがに今は誰もいないが、駐車場などどこで誰が見ているかわからない。葵は慌てて身を引こうとしたのだが、
「少しだけ」
蒼佑はそう言って譲らず、葵をしっかりと抱きしめてしまった。
「もう……」
葵は軽くため息をつきはしたが、包み込まれるように抱かれていると、気分が落ち着いてくる。そうやって十秒程度抱き合った後、蒼佑は名残惜しそうに力を抜いて、そっと額に唇を押し付けた。