ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 それから二週間ほど、なにごともなく毎日は過ぎて行った。
 十日ほど前からスペインに出張に行っている蒼佑からは、まめにメッセージや電話があり、思ったより、寂しさは少なかった。

(もちろん、全然寂しくないと言ったら嘘だけど……)

 そういうことを渉に少しこぼしたら、

『それはあたしじゃなくて、彼氏に言わないと』

 と、笑われてしまった。

『でも迷惑じゃない? だって、そんなこと言われたって、どうしようもないのに』
『空気読み過ぎ。男女のことは、もう少しパッションで突き進んでいいのよっ』

 そして渉は、『あの彼、そんなことで機嫌を悪くする小さい男じゃないでしょ。むしろ、めちゃくちゃ喜ぶでしょ』と、正しく蒼佑を評価していた。

 そう言われれば、そんな気はする。
 葵が自分のことを考えてくれていると、蒼佑は喜ぶかもしれない。

 だが葵は――寂しいとか、会いたいとか、好きだとかを、うまく口にすることが出来ない。

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