ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
桜の咲く時期に再会してからずっと、蒼佑は葵にまっすぐに、思いをぶつけてきてくれているのに――。
自分が彼に好きだと言ったのは、片手でお釣りが来るくらいだ。
八年前に失った恋。
そしてまた始まった恋。
不安に思う事もあるだろうが、そればかりではだめなのだ。
(よくないわよね……こんなの。ちゃんと私だって、彼に伝えないと……)
蒼佑から『日本には、明後日の夜、帰国する』と連絡を貰っている。
長い出張がようやく終わる。
せめてもう少し、素直になれたら――。
そんなことを考えながら、葵は休憩を終えて売り場に戻ったのだが。
売り場の前に、上品な和服女性の後ろ姿を見て、葵はその場に凍り付いたように棒立ちになった。
「あっ……」
「あら。ちょうど戻って来たみたい」
軽やかに笑いながら振り返ったのは、蒼佑の母である、天野りか子その人だった。
「沢村さん。あの子、もう帰らせてちょうだい」
「――ですが」