ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
生まれも育ちも生粋のお嬢さまで、わがまま放題に育てられ、すべての人は自分に都合を合わせてくれると思っているだけ。
(こういう子、学校にもいたし……。まぁ、いまだにこれが通るのも、すごいと思うけれど……)
葵は内心ため息をつき、紳士服の部長の顔を見上げた。
「早退させてもらって、よろしいでしょうか」
「――だが……」
部長は少し心配そうにりか子と沢村に背中を向けて、こっそりと葵に問いかける。
「大丈夫? なにか困ってるんじゃないの?」
蒼佑とのことは当然知っている。そしていきなりやってきた彼の母親の登場で、異変を感じ取ったらしい。
「……すみません」
葵は軽く頭を下げて、それからりか子へと近づいた。
「荷物を取ってきます」
「ええ、いいわよ。早くしてね」
りか子がにっこりと微笑む。
葵は足早に後方のロッカールームへと向かい、制服から私服に着替えて、バッグを持ってまたりか子のもとへと向かった。