ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
この人はいつだって単刀直入であったはずと思いながら、葵はりか子の顔を見返した。
「私は、蒼佑がとても可愛いの。だからあの子には幸せになってもらいたいの。でも今のあなたは、蒼佑に、なにも与えられないでしょう? むしろ、蒼佑から奪うだけじゃなくって?」
「それは……」
りか子の指摘に、葵の喉はギュウッと締まるような息苦しさを覚える。
「蒼佑に、帰国したら話があるって言われたの。きっとあなたとのことね。でもね、私はもちろん反対なの。でも今の恋に恋をしている蒼佑に頭ごなしに反対しても、じゃあ会社を辞めるなんて、言い出すかもしれないじゃない? それはすごく困るの。あの子ひとりの問題じゃないし……わかるわよね?」
「――はい」
「蒼佑の肩には、従業員四万人とその家族の人生がかかってるのよ。あなた、それでも自分が幸せになれたらいいって言うの? そんな恐ろしいこと……考えているの?」
りか子の話は、長かった。この調子で小一時間ほど、一方的に葵は責められた。
蒼佑を奪うのは人を不幸にすることだと、コンコンと話すりか子に、葵は何度も席を立って逃げ出したくなったが、我慢強く話を聞いていた。
(私は蒼佑さんとただ一緒にいたいだけ……。私が死ぬのを見守って、安心して死にたいと言うようなあのちょっとおかしくて可愛い人と……人生をともに歩みたいだけ。蒼佑さんの心を、彼の人生を、無理やりどうこうしたいなんて、思ってない……)