ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「お茶のお代わりをお持ちしました」
長身のスーツの男がずかずかとテーブルに近づいてきて、りか子と葵の紅茶を新しいものに変える。そしてトレイを片手に、優雅に微笑んだ。
「――お久しぶりですね、おば様」
「えっ……あら!」
男性が入ってきても完全に無視していたりか子が、顔を上げて、すっとんきょうな声を挙げた。
うつむいていた葵も、顔を上げる。そして仰天してしまった。
葵とりか子のテーブルの横に立っていたのは、グレーの三つ揃えを着こなした、精悍な美男子だった。さらさらとこぼれる黒髪に、少しだけ吊り上がった切れ長の瞳。甘さと怜悧な美貌が絶妙に入り混じった男が、この場のどんよりした重い空気もなんのその、ニコニコと笑って立っている。
(え……誰……でもどこかで見覚えが……)
「瑞樹さん……あなた、どうしてここに?」
りか子は目をパチパチさせながら、慌てたようにソファーから立ち上がった。
瑞樹――その名前を聞いて、葵はハッとした。