ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 では南条瑞樹は、葵のためにわざわざここまで来てくれたと言うのだろうか。
 友人の、恋人のために――。
 葵に向かって微笑んだ、少し茶目っ気のある瑞樹のことを思いだす。

 部長は、あごのあたりをゴシゴシと撫でながら、

「でも、どうやって天野夫人が来たことを知ったのか、謎だけど。きっと南条さんのことだから、あちこちの子会社に信頼できる部下を置いて、ささいなことでも、報告させているのかもしれないね」

 と、苦笑して、それから深く息を吐いた。

「とにかくお疲れさん。早く帰りなさい」
「は、はい……」

 葵は意味が分からないながらもうなずいて、そのまま職場を後にしたのだった。



(お母さんが来たこと、言うべき……?)

 ベッドの中で葵はスマホを片手にじいっと考え込んでいた。
 言うべきだと思う気持ちと、煩わせたくない気持ちの間で、振り子のように思いが揺れる。

 そもそもりか子が葵のところにやってきたのは、完全に不意打ちだ。
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