ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

「なっちゃん、どうしたの?」
「――どうもしない」

 そして乱暴に部屋のドアを閉めて、出てこなかった。

(反抗期……なのかな)

 考えてみたら、ナツメには過去反抗期らしい反抗期はなかった。年が離れているせいか、お姉ちゃん子で、まったく手がかからない。だがナツメだって高校生男子だ。イライラすることもあるだろう。あまり問い詰めるのもよくないかもしれない。
 気にはなったが、葵は無理に聞き出すのを諦めたのだった。



 だが――ナツメはいきなり、やってきた。
 仕事が終わる時間を見計らっていたのだろう。学生服姿で、売り場にやってくると、驚く葵にズカズカと近づいてきて、「葵ちゃん、俺すごくムカついてる」とはっきりと口にした。

 たまたま葵と一緒に売り場にいたのは、間島だった。

「――修羅場っ!?」

 たいへんな美少年のナツメを見て、あらぬことを考えたのだろう。
 目をキラキラさせながら、間島が葵の腕をつかんで揺さぶった。

 確かに蒼佑しかり、その母のりか子しかり、最近の葵は噂に事欠かない。

 男子高校生となにかあると思われても、仕方ないのかもしれない。
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