ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
お客様もはけたタイミングで助かったと思いつつ、葵は驚きながら、間島に首を振った。
「ちっ、違います、私の弟ですっ!」
「へーっ、弟さん! すっごいきれいだねー!」
「す、すいませんっ……」
葵はぺこぺこと謝りながら、腕時計に目を落とす。
「もう私、仕事終わるから。すぐ来るから、ちょっと待ってて」
そしてくるりと身をひるがえし、急いで着替えて戻ってきた。だがナツメはし、五人の女性客に取り囲まれていた。所々、「NATSU?」と聞こえる。ファンの女性に発見されてしまったらしい。
「な、なっちゃん……!」
葵はひーっとなりながら、そのままナツメの腕をつかみ、フロアの端にある、階段へと小走りに連れて行った。
「ど、どうしたの……? っていうか、ムカついてるって、なに!?」
「天野さんだよ」
「えっ?」
「あの人、今日帰国なんて、嘘だよ」
「――ええっ?」
「本当は昨晩帰って来てる」
「な……なんで?」