ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 するとナツメは、腹が立って仕方ないといわんばかりに、眉根を寄せ、吐き出すように言った。

「今日、お見合いするんだ」
「な……」

(お見合い? 今日、帰って来てる……?)

 情報量が多すぎて、すぐに判断できない。
 呆然とする葵に、ナツメは嫌悪感を丸出しにした表情で、さらに言いつのる。

「ほら、覚えてる? 俺がCM撮りの時に、広告代理店のえらいさんの娘に、一緒に食事したいって言われたの」
「ああ……うん」
「その子、結局俺の連絡先どっかから手に入れたみたいで、ちょいちょい連絡してくるようになって……まぁ、仕方なくたまに相手してたんだけど。どうもその彼女の友達が、蒼佑さんと今日、見合いするんだって。銀行の頭取の娘だとかなんだとか……」
「そう……だったの」

 りか子から、蒼佑に見合いの話が出ているとは聞いていた。だがこんなに早いとは思っていなかった。

「最低だよ。見合いした後、うちに何食わぬ顔をしてくるつもりだったなんて。葵ちゃんに嘘つくなんて……そんなの……俺、絶対に許せない……っ」

 本当に怒りが収まらないのだろう。

 ナツメは涙目になり、そのままぐっと息を飲んだ。
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