ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「なっちゃん……」
旅行から戻った後、ナツメが蒼佑との仲を心配していたのは、こういうことだったのだ。そのことに気が付いて、葵の胸はギュウッとつかまれたように苦しくなった。
「ごめんね、なっちゃん……」
ずっと黙っているのは、辛かっただろう。葵は申し訳なくなりながら、ナツメの端整な顔を見上げる。
「なんで謝るの! 葵ちゃんは悪くないでしょ!」
そしてナツメはグッとまぶたを手の甲でこすった後、唇を噛みしめる。
「俺、見合いの場所、聞いたから」
「え?」
「んで、今から行って、あいつのことぶっ飛ばすから」
「ちょっ……」
物騒なことを言い出したナツメに、葵はビクッと体を震わせた。
「だめだよ、そんなの……!」
「いいよ、殴らなきゃ収まらないよ!」
そしてナツメは、ふうっと息を吐いて、葵の手を握ると、階段をどんどん降りていく。華奢な葵は、引きずられるように階下まで降り、フロアを横断する。
(どうしよう……!)
今、ナツメは完全に頭に血が上っている。いくら止めようとしても、葵の力では押さえられない。