ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~
「そうね。きれいね。これ、新色なの」
渉はにっこりと微笑むと、「ついでだから」と軽くメイクを直してくれた。
「あの……それ、下さい」
ナツメが財布を取り出して、リップを指さす。
「え?」
葵が目を丸くすると、「まぁ、ちょっとしたプレゼントということで。あと、落ち着かせてくれたお礼です」ナツメはそう言って、うつむいた。
「あら、ありがとうございます」
渉はフフッと笑って、背後に立っていた若い美容部員に会計を頼むと、ナツメに向かって、小さな声でささやいた。
「あなた、いい男ね」
「えっ!?」
なんだかその言葉が甘く聞こえて、葵は目を丸くする。だが渉は、
「大丈夫よ~。年下は守備範囲外なの、あたし」
と大げさに上半身をのけぞらせながら、ケラケラと笑ったのだった。