ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 南天百貨店を出たふたりは、タクシーに乗り込んだ。行先は、蒼佑が見合いをするというホテルだ。

「もう殴りはしないけど、真意は確かめる。わかるまでは家の中に入れたくないしね。ああ、やっぱり、返答次第では殴るかもしれないけど……」

 ナツメがぽつりとつぶやく。

 確かにあの家は、葵だけのものではない。ナツメも生活する家だ。
 彼の言うことも、一理ある。それに葵だって、どんな顔をして蒼佑を迎えていいか、わからない。

「葵ちゃん、どうする? イヤなら俺ひとりで行ってもいいけど」
「ううん……私も行く」

 さすがに見合いの席に突入することはできないが、連絡すればどこかで待ち合わせることはできるだろう。

「俺、殴れるかな……あっちのほうが全然体格いいし」

 ナツメはどこまで本気なのか、そんな言葉を口にする。

「殴らないで欲しいけど……」
「そんなの、あの人次第だよ。俺、葵ちゃんを泣かせるのは、絶対に許さないから」

 そこだけはきっぱりというナツメに、葵は胸がいっぱいになる。
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