ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 一方その頃――。
 蒼佑は料亭の一室で、顔に笑顔を張り付けたまま見合い相手を見送り――、内心、はらわたは怒りで煮えくり返っていた。

 本来であるならば、今日は蒼佑は両親と三人で、話をする予定だったのだ。
 帰国を一日早めて、両親に話したうえで、堂々と葵に会いたかった。

 もちろん、今まで隠していた葵とのことを、認めてもらうための話し合いのつもりだった。
 忙しい父と面と向かって話すことはできなかったが、とりあえず電話で母に、『帰国後、大事な話がある』と、事前に伝えていたのだから、わかっているはずだと思っていた。

 だが帰国してみれば、こうやって見合いの予定が進められており、知らされたのは直前で、蒼佑は断るヒマすら与えられなかった。

 そして、見合いは滞りなく終わった。

 相手は以前話をした、日本有数の広告代理店の社長令嬢の知り合いだった。頭取の娘で、どこかで会ったことがあるらしい。
 蒼佑に憧れていたのだと何度も微笑む彼女は、ごく普通の女性だった。

 何度もテーブルをひっくり返して帰ろうかと思ったが、見合い相手には罪はない。

 双方の両親も同席しての、見合いである。蒼佑には、彼女に恥をかかせるような真似はできなかった。
 
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