ひざまずいて、愛を乞え~御曹司の一途な愛執~

 次第に目が覚めてきたのか、蒼佑は何度か瞬きをした後、葵の指摘に笑って、うなずいた。

「そう? 気が付かなかったな」

 そして自分の肩を撫でる葵の手を取り、手の甲に口づけると、体を起こして葵の体を抱き寄せる。

「俺こそ、起こしてごめん……」

 葵の頭を優しくなで、髪を指で梳きながら、じっと葵を見つめる。

「よく眠れるように、ハーブティーでも淹れてこようか」
「蒼佑さん……」

 葵は一瞬、このまま彼の提案を飲んでしまおうかと思ったのだが。

「お茶はいいわ。気遣ってくれてありがとう」

 そして両手を伸ばすと、蒼佑の首の後ろに腕を回し、そのまま頭を引き寄せた。

「あっ、葵?」

 動揺したように蒼佑が身じろぎするが、

「動かないで」
「は、はい……」

 葵がぴしゃりと言い放つと、蒼佑は借りてきた猫のようにおとなしくなった。
 葵はふうっと息を吐き、蒼佑の顔を胸に抱いたままゆっくりと口を開く。

「蒼佑さんは、私に特別いい顔をしようとするの、やめていいと思う」
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