Happy Birthday~大切な人に贈る言葉~



「どうした?何かあったのか?」



「なんでもない。なんでもないから。だから‥離して。」



「嫌だ。答えるまで、この手離さない。」


なかなか、頑固だ。


「小学生みたいなこと言わないでよ。人が嫌がってることしてはいけないて小学校の時に習わなかった?」


「俺は小学校の時に友達を泣かしてはいけません。ということを習ったよ。歩保を泣かせた奴は誰だ?」



「‥バカ。答えになってないよ。」


涙が止まらない‥。


「バカはお前だよ。我慢強い歩保がなんで、泣いてんだよ。お前が泣くなんてよっぽどだろ。」


そう言うと圭太くんは私を抱きしめた。


「笹江くん?」



「俺の名前は圭太だ。さっきみたいに名前で呼べよ。怒らないから。」



「‥嫌。」



「ったく、お前て意外に頑固だな。」




「け‥笹江くんには言われたくない。」


また、名前を言いそうになる。



「本当は俺の名前呼びたくて仕方ないんじゃないの?」



図星をつかれるが、反対のことを言ってしまう。



「そんなことない!!」




「‥で、誰に何をされた?」



話をさらっと戻される。



「言いたくない。」



「わかったよ。言いたくないなら、それでいい。もう、これ以上は聞かないから安心しろ。」



そう言うと、圭太くんは私を離し指で私の涙をふいた。



「弱音、吐いたっていいんだよ。つらかったり、しんどかったりしたら泣いてもいいんだ。無理すんな。」


すると‥



「圭太ー!練習、始めるぞー!」


「おー!今行く!!」


「‥ありがとう。圭太くん。本当にありがとう。」


また私の目からは涙が溢れだす。


「今日はもう帰るのか?」


「うん。‥こんな顔じゃ部活に出られないから。」


「そっか。じゃあ、また明日な。」


「うん。また明日。」


最後に圭太くんはハイタッチを求めてきた。


なので、私もハイタッチで返す。


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