Happy Birthday~大切な人に贈る言葉~
「‥いや、大丈夫。あれで相当こたえてると思うから。お前らもありがとうな。俺のために。」
「当たり前だろう。俺らは圭太の友達だからな!!」
「俺は、いい友達を持ったなー。そうだ、これからちょっと俺は席を外すな。こいつと話があるからな。」
そう言うと圭太くんは私の肩に手をまわした。
「そうだった。じゃあ、圭太いってらー!」
圭太くんの友達に見送られ私と圭太くんはその場を後にした。
私と圭太くんはしばし無言のまま、テニスコートまで来た。
そのまま、コート内のベンチに腰をおろす。
コートには誰もいなかった。
「あ‥あの‥圭太くん‥。」
「ごめんな。2回も夢のこと言われて、傷ついたよな。」
「ううん。私は大丈夫。それよりも私、圭太くんのこと何も知らないのに、知ったような口を聞いてごめんなさい。」
私はうつむく。
「嬉しかったよ、俺。」
「えっ!?」
一瞬、言ってる意味がわからなかった。
「言われてショックだったけど、歩保が庇ってくれて嬉しかった。それに、歩保から俺のことを大切な人ていう言葉も聞けたし、まぁあいつの悪口は聞かなかったことにしよう。」
圭太くんは笑顔だった。
「‥えっ?私‥そんなこと言った?圭太くんのことを大切な人て?私、本気だったから何言ったのか覚えてないよ。」
自然と顔が熱くなる。
「忘れたとは言わせないよ。でもまぁ、ありがとな。庇ってくれて。」
「わ‥私は何もしてないよ。圭太くんは空っぽなんかじゃないし、それを言われたことが許せなかっただけ。」
「歩保でも怒るんだな。意外だよ。」
「私だって人間だから、そりゃあ怒るよ。だって‥す‥好きな人のこと悪く言われると腹、立つじゃん。」
私は恥ずかしさのあまり、圭太くんから顔をそらしてうつむいてしまう。
すると圭太くんが動く気配がした。
気がつくと私の前に片膝をついていた。
「えっ?圭太くん?」
そう言うと圭太くんは私の頬を両手で挟んだ。
「歩保。俺の目を見て自分の気持ちを伝えてみて。」
圭太くんは私を離してくれなさそうだった。
「圭太くんのことが‥好き。明るくて、一緒にいて楽しい、圭太くんのことが好きです。」
今度は目を見て言うことが出来た。
そう言うと圭太くんは頬を両手で挟むのをやめてくれた。
「やっと、歩保の口から聞けた。いつ、振り向いてくれるのかと思ってたのに。」
「えっ?どういうこと?」
「‥‥実はさ‥俺、1年の頃から歩保のこと好きだったんだよね。」
「えぇ!!?」
初めて聞くことだった。
「だって歩保、下ばっか向いてるから俺の気持ちに全然気づいてくれないんだもん。でも‥俺もなかなか、気持ちを伝えることが出来なかった。やっと、勇気をだせたんだ。俺、専用の怪我担当にすることが出来たし。」
「ちょっと待って。圭太くんは私のどこが好きなの?私はほかのひとよりも劣ってるし、それに地味だし‥。」
「全部!と言いたいところだけどさ、強いて言えば、努力家なところかな。部活でも毎日、参加して出来ないところは聞いて出来るようにしてたところとか。全部、俺は見てた。この子すごいなて。俺には持ってないものを歩保は持ってるて。」