お茶にしましょうか
そして、その2人分のたこ焼きを、奴が俺にへと差し出した。

わけがわからず、俺は疑問符を飛ばす。



「なんかうざいから、二人で、他所で食べてきてくれる?」

「な…っ?!」

「早く行っといでよ」



いくらこいつに背中を押されたからと言って、容易に彼女と二人きりになるのはいけない。

何と言っても、彼女には好きな人が居るらしいのだから。



「ついでに回って来い。こっちは俺等で適当にやる。言い訳はいくらでも、しまくっておいてやるからよ」



みんなには申し訳ないが、このような心遣いは正直、要らない。

今日のみんなは一体、どうしたというのだ。



「おい!!江波!」



よく叫ぶ奴が、俺のすぐ隣で叫んだ。

やめてくれ、これ以上、後押しするのは。



「お前はたこ焼き代、ちゃんと払って行けよっ!!」



何故だか、こいつが耳元で叫んだ後、緊張の糸が解けたのか、よくわからないが、こだわっていたことが、一気にどうでもよくなった。

財布から450円を取り出し、よく叫ぶ奴に手渡す。



「悪い。早めに戻る」



自分で「悪い」と言っておいて、何が悪いのか、よくわからない。



「別に戻ってこなくてもいいから」



よく毒を吐く奴の横を通った時、そう言われた。

その台詞に「絶対戻ってくる」と、つい力んで返した。

何故だ。

俺は、これから戦場にでも向かうのだろうか。
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