センチメンタル
「絶叫系ばっかのりすぎたかなー」
武田君がまだ困った顔でそういうので、私は仕方なしに首を振る。そういうことにしておいてもいいんだけど・・・でもまたよかれと思ってジュースを買われてしまうとキツイので、正直に言うことにしたのだ。
「いやあ・・・実はね、炭酸の飲み物ってちょっと苦手で・・・それで酔ったみたい」
声限りに申し訳なさを込めてみた。だけどやっぱり武田君は更に困った顔になってしまった。
「え、ダメだったんだ!?炭酸。どうしていわねーの」
「や、折角買ってくれたから・・・飲めないっていうのが申し訳なくて」
「そんなの気にしたらダメでしょ。言わないと」
「うん、ごめんね」
武田君はまだ眉毛を下げたままで、ツメで頬をかいていた。
「俺が炭酸好きだから、つい・・・。先に聞くべきだったな」
「いやいや、君は悪くないよー、ほんと」
座っている間太陽を浴びていて、それはほんわか温かく、風も気持ち良かったので私は少しずつ大丈夫になってきていた。それにいつまでもここに座っていれば武田君も困った顔のままで、さほどに会話もなく微妙な空気が流れている。だから、もう大丈夫だから次行く?って聞いてみたのだ。
武田君はじっと私の顔を見た。
それは一瞬だったけれど、私はハッとして緊張する。
ドクン、と鼓動が大きく耳の中で聞こえた。
「まだ顔色わりーよ。ちょっと乗りすぎて疲れたし、まだゆっくりしよー」