センチメンタル


 隣で話す武田君の顔が良く見えなくなってきたほど暗くなった時、近くにあった電灯が瞬いて点いて、二人はやっとかなりの時間が経っていることに気がついたのだ。

「あ」

「ああー」

 時計をみてビックリした。もう6時過ぎてるよ!!

「・・・もう夜だ」

「夜、だね。いつの間に!」

 武田君はベンチから勢いよく立ち上がると、こちらを向いてニッと笑った。その笑顔は、今日一日で何度か見た楽しげで優しい感じのするものだった。

「女子と、こんなに話したの、俺初めてかも」

 そういえば、私もそうかも。そう心の中で思った。男の子と、これだけ長くたくさんのことを話したのは―――――――――

「もう大丈夫そう?帰る?」

 武田君がそう聞いて、私は頷いた。

 最後にもう一度、回転しないジェットコースターに乗ろう、そういうつもりだった。気持ち悪さはもう全然なかったし、何よりも今度はちょっと違った空気で、距離で、武田君と順番待ちが出来そうだって思ったからだ。

 もう少し近い距離で。

 さっきよりも打ち解けた空気で。

 きっと楽しいはず――――――――――――



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