センチメンタル
空が青くて高く、涼しい風が強い日で、太陽の光は温かいという絶好の行楽日和。
普段あまり男子と喋ることもない私は、急遽決まった男女混合の遊びを朝から緊張しつつも楽しみにしていたのだった。
だけどこれじゃあ―――――――――・・・
「行く?」
「え?」
振り返ると、武田君は入口の方を指差した。
「交通費払って折角ここまで来たんだし、俺達だけでも遊ばないか?」
え。私と君で?二人だけで?
そう思った。思わず駅の方を振り返る。こちらに歩いてくる、それなりに多くの人達。その表情は明るく、これから楽しいことをするぞ、といった決心みたいなものが溢れていた。
折角、ここまで来たんだし―――――――――
風が通って帽子が飛ばされそうになり、武田君はパッと押さえつける。私はそれを見ながら、ゆっくりと頷いた。
「そうだよね、よし、何か悔しいから楽しもう!」
「あははは、そうだよな。だって入口目の前だしな」
「うんうん」
だから私達は歩き出した。もうこっちも覚悟を決めて、楽しむぞって。
遊園地はほどほどの込み具合だった。
乗り物に乗るために長時間待つ必要はないけれど、20分ほどは待たなくてはならないというくらい。それくらいだとうんざりもせず、人が少ないことでの興ざめもなく、またほとんど話したことのなかったクラスメイトである武田君とも適度にお喋りをすることが出来て、気まずい思いをせずに済んだ。