始まりのラピスラズリ


「…そっちは、涼しそうだな」


「……っ!」


久しぶりに言葉を返せば、驚きながらも嬉しそうに笑う椎名。


「これ、いいですよね。
私、空が好きだからお気に入りになりました」


椎名のTシャツは、水色の生地にスプレーで塗ったような白と、大きな虹が描かれていた。


椎名は俺の隣に来ると、目の前の看板に視線を移す。

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