眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。

 一人を案内するとほかの三人と廊下で待つ気まずい時間が流れる。
これでは仕事ができないのでは、と呑気なことを考えながら自分は立つ。


 私は落ち着きがないし、コンプレックスに左右されて失敗ばっかしてしまう。秘書課に入学したときも、少しは落ち着いた大人になれるように、という情けない理由からだった。

 おかげで面接にときにドアに頭をぶつけたりとドジもあったし、他の人のアピールポイントを聞いていたら萎縮しちゃう自分がいた。

 派遣会社に登録しつつも情けなくて泣き出しそうだったのは覚えている。

 だから私は見栄を象徴したような、自分に似合わないヒールの高い靴で身長も自分も誤魔化してこの会社に入ろうとした。


 ……こんな自分、どこがいいのか分からない。
からかってると言われた方が、傷つくけど納得ができる。


 そんなことを考えていたら、会議室から一人目が出てきていた。
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