ドクターと甘い恋
「目冷やすタオルもってこような。

あと、また治療再開するからね」


「せんせい…ありがとう」



治療に対する怖さがなくなったわけじゃない。

怖くて、不安で、逃げ出したくなる。


でも、わたしの不安に気づいて、心の本音を受け止めてくれる人がいる。



それって、すごく幸せなことだから。

だから、信じてみたいと思った。



陽向先生だから、信じたいと思った。



「お待たせ」


小走りで、目に冷やすタオルと検温するための体温計を持ってきた陽向先生の後ろにいたのは、はるくん。


はるくんも、わたしをみるなり



「寝すぎだ、ねぼすけ」


優しい声で、そう言ってくれた。


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