秘密の糸Season1㊤
「お邪魔します。」


「今、お茶淹れて来ますね、座ってて下さい。」


「ありがとう」


そして私は1階に降り、お茶を淹れた。


コポポポ


自分から、部屋に誘ったのは初めてだった。


そして私はお茶を淹れ、2階に上がった。


トントン


ガチャ


「お待たせしました。」


「ありがとう、重かったでしょ?貸して」


新堂さんはそう言って、持って来たお茶を机に置いてくれた。


新堂さんは、私をちゃんと女の子扱いしてくれる…。


目を見てくれる…。


涼汰君も…持ってくれてはいたけど…


私の目は見てくれなかった…。


「…美菜ちゃん?」


「え?」



「どうかした?」


「あ、いえ…」


(私、新堂さんがいるのに何で涼汰君のことを…)


「…ごめんなさい、大丈夫です!」


そして私達は、持って来たお茶を飲んだ。


その時


カチャ


新堂さんがティーカップを置いた。


「美菜ちゃん今日、元気なかったよね…?」


そう言って新堂さんが、私の目をまっすぐ見た。


「…え?」


(…知っていたんだ。)


「何かあったの…?」


言えない…。言えるわけない…。


涼汰君にキスをされたなんて…。


「それは…。」


話そうか悩んだ時、新堂さんが口を開いた。


「ごめん、困らせたね…。無神経だった。
言いたくないことなんて誰だってあるよね…。
本当ごめん。」


新堂さんはそう言って、頭を下げた。


「い、いえ!私の方こそ…。」


私は、罪悪感を感じた。


悪いのは私なのに…。



新堂さんを困らせてしまった…。

「だけど僕は君が大事なんだ。
だからこそ、君のことは何でも知りたい。
だから、本当は話して欲しい…。
だけど、話したくないなら、
これ以上は聞かない。」


「新堂さん…。」
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