眠り姫の憂鬱。


私はニコリと笑って、七海ちゃんの頬を摘んで口角を上げてあげた。


「なにすんの!」

「ふふっ、笑った方が可愛いよ!」


七海ちゃんが笑わないと、楓も笑えないし、ご両親だって笑えない。


でも七海ちゃんが笑えば、もっと明るい家になるはず。


七海ちゃんの病気が良くなれば、もっと楓の負担も軽くなるはず。


余計なお世話だったかもしれないけれど、これで楓が笑ってくれたら本望だなって。



その数分後コンビニから帰ってきた楓は、私の分のアイスも買ってきてくれていて、やっぱりそういうところが好きなんだよなあって改めて思った。



< 72 / 236 >

この作品をシェア

pagetop