眠り姫の憂鬱。


『なんで…、なんでっ!』


泣いて喚いて。


『どうして私だけ…っ!』


はっと気がつくと、お母さんが今にも零れそうな涙を目に浮かべ私に謝り倒していて、そんなお母さんの背中をお父さんはさすっていた。


ああ、私は…、


『おかあ、さ…』

『雅、雅っ、ごめんね…っ』


なんてことをしてしまったんだろう。


その日からしばらく私は、カーテンを締め切って電気も付けない、真っ暗な自分の部屋に閉じ篭ってひたすら泣いて、泣いて泣いて、泣きまくって。

泣き疲れて、泣き尽きた時、もう泣かないって決めた。



久しぶりに自分の部屋から出た世界は眩しいほど明るくて、驚くほど色がなかった。



『お母さん、お父さん、おはよう!』


両親を困らせないために明るく生きようと思った。

数ヶ月ぶりに上げた口角と頬は痛くて、私が生きていることを表している。


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