スノーフレークス
「北欧神話に出てくる妖精だ。戦場で死にゆく兵士たちを天国へ誘う、若くて美しい女の姿をした神の使いなんだ。ワルキューレは女だてらに天使の翼が生えた甲冑を身にまとっている。彼女は兵士の魂を自分の天馬に乗せて天上の門まで飛んでいくというわけさ。ちょうど雪女が人の魂を雪舟に乗せるようにね」
 澁澤君は遠くの方を見つめている。彼は天国に昇ったお兄さんのことを考えているのだろうか。彼の涼しげな瞳からはその思いを読み取ることはできなかった。
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