フレーム
頭の中が大パニックになり、
棒立ちをしていると
「…え、何?
もう1回してほしいの?」
そうニヤッと笑いながら、
私を見下ろす太一君と目が合った。
もう1回…?
……!!!
「い、いや違っ!
明日の着替え、取ってくる!」
頭が混乱していた私でも
何を"もう1回"なのかくらい分かる。
いつもより近い距離で
ニヤッとだけど笑われて、
速かった心臓の鼓動が
さらに高鳴ったことがバレないように
2階の自分の部屋まで走った。
恋愛の神様、
キス…されたよ、私。
キス、されちゃったよ…。
写真の神様、
本当に今日だけは許してくれてるの?
まだうるさい心臓のあたりを
片手で押さえながら、
2つの神様にそう問いかけてみる。
もちろん答えはないけど。
この後、私、
太一君の顔、ちゃんと見れるのかな。