最期の贈り物 ‐君への愛‐
「へぇ、燐の妹さん、絶対可愛い」
「口うるさいだけだよ、あんな妹」
鬱陶しい、そう言いながらも、顔は妹を見守るお兄ちゃんという顔だ。
喧嘩するほど仲がいいっていうし、なによりずっとそばで過ごしているんだから、こうやって悪口を言ってみても、妹さんが危ない時は血相を変えて駆け寄っていきそう。
不器用な、お兄さんだ。
「兄妹、羨ましい」
「はぁ?優恵、一人っ子か?」
「そうなの。だから、羨ましくて」
こういう燐のような話は、昔から耳にしてきている。
小学校でも、中学校でも。
例え、その兄弟が仲良くなくとも、私は羨ましく思っていた。
だって、家にお母さんと、もう一人いるんだよ?
私を理解してくれる、というか、いざという時は活躍してくれるかもしれない人が一緒ってことだよ。
なんて、素晴らしいことなのだろう。
「別にうるさいだけだし、一人の方が羨ましいっての、こっちは」
「うるさいくらいが楽しいんだよ」
「ま、これからうるさくなるんだし、よかったじゃん」