愛しの許嫁~御曹司の花嫁になります~
 翌日。

 私の憂鬱な気持ちを表すかのように、今日は朝から大雨だった。本当にこんな雨の中、海に行くというのだろうか。鷹野部長の気が変わって今日はキャンセルという連絡がないか少しばかり期待していたけれど、私のスマホはだんまりだった。

 ――さっきの約束だからな。十時に迎えに行く。

 昨日の鷹野部長の言葉を何度も思い返して、私は傘をさしてアパートを出た。

 膝丈くらいの紺のスカート、襟に刺繍がしてあるブラウスを着て一応少しはデートに行く格好らしい服装をしてきたつもりだったけれど、その前に、私は鷹野部長に言わなければならないことがあった。

 電車を乗り継ぎ、私は鷹野部長とデートだというのに、重い足取りで麻布の実家跡地へ向かった。

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