天使の傷跡



結局、またろくに眠れぬ夜を過ごした翌日、私は一軒の家の前に立っていた。

それが誰の家であるかはもはや言うまでもなく。

すーはーと深呼吸を繰り返してはインターホンに手を伸ばす。
けれどあと数ミリのところで思いとどまって引っ込める。
そんなプログラミングされた機械の様な動きを、もう数え切れないほど繰り返していた。

…っていうかこの前は雨がすごかったせいもあってあまりじっくり見る余裕もなかったけど、こうして見るとこの家ってかなり立派なものなんじゃないの?

築年数はそれなりなのだろうけど、大きさはもちろんのこと、使われている材質もかなり品質のいいもののような気がする。
しかも庭つきな上に今でも綺麗に手入れされてるだなんて。

課長って、実は育ちがいい人なんじゃ…


「_____水谷?」


ぼーっと大きな家を見上げていると、庭に面した窓がガラッと開いた。

お互いに驚くことしばし、先に我に返った課長が慌てて家の中に戻ると、やがてドタドタとすごい音を響かせながら目の前の扉が勢いよく開いた。

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