天使の傷跡

現れたのはもちろんこの家の主である課長…なのだけど、扉を開いたままの格好で、何故か彼は呆気にとられたように口を開けている。

「あ…あの、すみません、もしかして今忙しかったですか…?」

いつでもいいとは言われたけど、とはいえ彼にも都合というものはあっただろう。

「____ばっ…最寄り駅まで迎えに行くって言っただろ?!」

「えっ…? いえいえ、自分で行くって伝えましたよね?」

「そうだけど、ここは駅から結構遠いじゃないか。だから着いたら必ず連絡しろって言ってただろうに!」

思いもよらず怒られて言葉を失う。

確かに最寄り駅に着いたら必ず連絡するようにと言われていた。
けれどそこまでされるのは申し訳なかったし、何より昨日の今日で車内で二人きりになりでもしたら、自分の心臓がもたないと思ったのだ。

結果普通の人なら駅から歩いて20分くらいだろう距離を、私の足では40分もかかってしまった。
でもその分時間に余裕をもって出たから伝えた時間には遅れていないはずだ。
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