天使の傷跡

そんな私達が一体どんな週末を過ごしているかというと。

「……」

その実、それはそれはとても地味なものだった。


課長にとって一番居心地のいいという書斎は、そのまま私にとっても最高の居場所へと変わった。
人工的な光など必要ないほどに明るい部屋で、最高に座り心地のいいソファーに体を預けながら好きな本を読み耽る。

課長の家には幅広いジャンルの本が揃っていて、正直、毎日入り浸っていたくなるくらい、この上なく魅力的な空間だった。

とはいえ、課長からすればこんな時間の過ごし方は不本意なんじゃないかと、さすがの私も悩んだ。
形だけ見てみれば、私は毎週末自分の趣味のために他人の家に押しかけているようなものだから。

『なんでだ? 同じ趣味をもつなんて最高じゃないか』

先週躊躇いつつもそう切り出した私に、課長はこっちが拍子抜けするほどあっけらかんとそう言った。
だからそんなことは気にせず自分の家だと思って好きなように寛いで欲しい、と。
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