飛べない鳥に、口づけを。
「菜緒ちゃん、すっごく可愛いこと言ってる」
熱い吐息が耳にかかり、「ひゃっ」と変な声が出る。
そして慌てて口元を押さえた。
「菜緒ちゃんは上手だよね、俺を誘惑するの」
訳が分からない。
頭が真っ白で何も考えられない。
「そんな可愛いこと言うと、本当に襲っちゃうよ」
「おっ……襲う!?」
その言葉を聞いて、とうとうあたしは倒れていた。
抉られたように甘く痛む、胸を掴みながら。
二十四年間、処女をこじらせたあたしには、まだまだ修行が必要なのかもしれない。
だけどいつか、身も心も樹君のものになりたい。
自分がおかしくなりそうなほど、樹君に夢中だ。
ー甘い初恋の味・完ー


