飛べない鳥に、口づけを。







そして仕事後……




震える足で地面を蹴って、がむしゃらに小沢さんのマンションに向かった。

走りながらも必死で考える。




マンションに着いたら、まずは小沢さんの家を訪ねるべきか。

でも、今はもう夕方の七時。

小沢さんは自力で歩けないし、眠っているかもしれない。

それなら、どうするの?

マンションの外で待ち惚け?

それこそ怪しい人だ。

やっぱり、突然訪ねるなんて無茶なことなんだ。





住宅街を抜け、前に古びたコンクリート製のマンションが現れる。

夕闇の中、いくつかの部屋の窓が光っていた。

そんなマンションを見上げ、ため息をついたあたしを……




「あれ?川口さん?」




思わぬ声が呼んだ。


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