チェックメイト
「はい!皆さんペアが出来ましたね!ここからはクイズ大会になりまーす!スクリーンをご覧下さい。」

司会者の声が先輩の声をかきけして引き付けてくれる。

こんな状態でクイズなんて無理、泣きそうな気持ちを我慢するだけで精一杯だ。

自分を全否定された気がして足下から崩れ落ちていくような感覚になってるのに。

私、自惚れてたのかな。

ずっとこのままなんて、どんどん前に行く人が現状維持の人間と同じ目線でいられるなんてある筈がない。

やっぱり先輩とは。

「悪い、言葉を間違えた。」

そんな声が耳に入ってきたと同時に私の体は引っ張られて動き出していた。

「え…?」

「こっちが正解。」

そう言われて周りを見ればAかBかの二択クイズが始まっていて、先輩はAを選んだようだった。

「正解は~…Aでしたー!!」

喜びの声と嘆きの声が同時に上がって会場内はますます盛り上がっていく。

正解ペアには一輪の花が渡され、最終的にたくさんの花を持ったペアが勝者となるようだ。

「持ってろ。」

先輩から花を押し付けるように渡されて思わず受け取る。

さっきまでの事を全て忘れてしまう位に目の前の花に見惚れてしまった。

「わ…本物だ。」

生花を用意するなんてなかなか素敵な発想、ダリアのいい香りが鼻を掠めて嬉しくなる。

「本物?」

「はい、いい香りですよ。」

嬉しさをおすそ分けしようと先輩の方に花を差し出してみる。

すると先輩は身を屈めて顔を近付けてきた。

先輩の髪が頬に触れそうで緊張して身体が固まってしまう。

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