俺はお前がいいんだよ
*
「は? なんて言った?」
金曜日の終業後、私が作ったご飯を残さずたいらげた桶川さんは、茶碗を洗いながらぽそっと言った私の言葉に、意外にもきちんと反応した。
「だから。ここにご厄介になるのは、次のアパートが見つかるまでにします」
最後の茶碗を水で流し、水切りカゴに入れて終了。後は自然乾燥に任せよう。
手を拭きながら、後ろに立っている彼のほうを向く。
相変わらず威圧感のある身長だ。大体、暇なんだったら手伝ってくれればいいのに、他に何かしてるなら気にもならないけど、傍観してるとか一番腹の立つやつじゃん。
そんな私の内心には気づかず、桶川さんは目を細めて冷気を醸し出し始めた。
怖い、寒い。そういう怒り方やめてほしい。
「俺はここに住めっていってるだろ? お前、金ねぇんじゃねーの」
努めて明るく、私は続ける。
「でもほら、前のアパート解約すれば、家賃分は月々浮かせることができるかなって。荷物はその間、貸倉庫に入れればいいし。ごはんも桶川さんがよく奢ってくれるので、早く貯められそうって思うんですよ」
「だったらもう奢んねぇぞ。……つーか、なんだよ急に。なにか不便なのか? なんで急に出ていく気になってんだよ」
「でも、やっぱりいきなり同居するとかおかしいでしょう。私たち付き合い始めたばかりだし、適度な距離ってもんがあると思うんですよ。ずっと一緒にいると、飽きるのが早いって言うじゃないですか」
「ヤラせもしない女のどこに飽きろって言ってんだよ! まだまだ興味深々だっつの」
「もう! エロ発言やめてくださいよー!」
「は? なんて言った?」
金曜日の終業後、私が作ったご飯を残さずたいらげた桶川さんは、茶碗を洗いながらぽそっと言った私の言葉に、意外にもきちんと反応した。
「だから。ここにご厄介になるのは、次のアパートが見つかるまでにします」
最後の茶碗を水で流し、水切りカゴに入れて終了。後は自然乾燥に任せよう。
手を拭きながら、後ろに立っている彼のほうを向く。
相変わらず威圧感のある身長だ。大体、暇なんだったら手伝ってくれればいいのに、他に何かしてるなら気にもならないけど、傍観してるとか一番腹の立つやつじゃん。
そんな私の内心には気づかず、桶川さんは目を細めて冷気を醸し出し始めた。
怖い、寒い。そういう怒り方やめてほしい。
「俺はここに住めっていってるだろ? お前、金ねぇんじゃねーの」
努めて明るく、私は続ける。
「でもほら、前のアパート解約すれば、家賃分は月々浮かせることができるかなって。荷物はその間、貸倉庫に入れればいいし。ごはんも桶川さんがよく奢ってくれるので、早く貯められそうって思うんですよ」
「だったらもう奢んねぇぞ。……つーか、なんだよ急に。なにか不便なのか? なんで急に出ていく気になってんだよ」
「でも、やっぱりいきなり同居するとかおかしいでしょう。私たち付き合い始めたばかりだし、適度な距離ってもんがあると思うんですよ。ずっと一緒にいると、飽きるのが早いって言うじゃないですか」
「ヤラせもしない女のどこに飽きろって言ってんだよ! まだまだ興味深々だっつの」
「もう! エロ発言やめてくださいよー!」