由良先輩はふしだら


「…ずっ、ずっと…」


言わないと決めてたというよりも、言えるわけないって思っていたから、思わぬこの状況に口が勝手に開いた。



「…ずっと、好きです」


っ?!


何言っちゃってんの私!!
いくら夢だからって告白しちゃうとか!!!


「そっか〜」


「あ、いや、あの、違っ────」



「…ん?違うの?」


っ!!


突然、由良先輩の手が私の肩に置かれた。


…う、嘘でしょ。


この時に感じた先輩の手の温もりで初めて、これが夢ではなく現実に起こっていることだと悟ってしまった。


「…違うっていうかその…なんていうか…」


「俺のこと、好きじゃないんだ?」



っ!!


そう言って先輩が一歩近づいて、私の顔を覗いてきた瞬間、自分の顔がボッと赤くなったのが分かる。


まさかこんな近くに由良先輩の顔があるなんて。


今まで遠くで見てた憧れの存在の彼の瞳に、しっかりと私が映り込んでいる。


あり得ないって…。



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