由良先輩はふしだら


「おい、今、日高って言ったか?」


「……うっわ、完全に忘れてた。こいつ、やつとよくつるんでたじゃん」


私の腕を押さえつけたままの2人が小声でそう話す。


“やつ”
それってきっと、電話越しにいる日高先輩のこと。


『中学の頃相当悪かったらしいよ』
『1年の頃に3年生病院送りにしたとか』


そんな噂をどこかで聞いたこともあるけど、この人たちもやっぱり、日高先輩のことは特別恐れているのかな。


「そこにいる女の子解放して欲しかったら、今すぐ美子から手離してくれる」


そういう由良先輩は穏やかな声だけど、拳にグッと力を入れたのが見えた。


「あ〜別にいいけど。そいつがどーなったって。そっちはそっちで楽しめばいいじゃん。もしよかったら、由良くんも混ざる?」


フハッと笑い声を混ぜた目の前の人物は、後ろに立つ由良先輩にチラッと目をやってそういった。


「……っ、」


酷すぎる……。
例え、私を怖がらせることが目的で、電話の向こうにいる杏樹さんが仕組んだとしても、仮にも彼女である杏樹さんのことを、そんな風に扱うなんて。



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