由良先輩はふしだら
ずっとフラフラしてた俺を、黙って見てるだけだった宙の気持ちを今、初めて知った。
執着……。
今考えたら、宙の言う通りかもしれない。
追いつこうと必死で、あがいて。
でも、全部が全部そうじゃない。
愛菜との思い出なんて、幸せなものばかりで。
だけどどこかで、この先壊さないように、まるで宝箱に大切に仕舞うみたいに、思い出を閉じ込めたかった自分もいて。
「もう一回聞くよ、広真。美子ちゃんとどうなりたいの」
「どうなりたいって…………そんなの」
真っ直ぐに俺のことを思ってくれていて。
どんな時もとびきりの笑顔を見せてくれて。
逃げでしかなかったと思っていた俺の過去を、それは愛だと微笑んでくれて。
誰よりも、強い女の子で。
俺にまた、人を好きになることを教えてくれた、彼女の────。
「美子のそばにいたい。今度は……俺が、美子を幸せにしたいから」
「はい、よくできました」
宙はそう言って俺に手を差し出してきたので、その手をとって立ち上がる。
「聴いてるこっちが恥ずいから、早くどうにかなってきてよ。由良くんは今日、遅刻したってことでいいよな」
宙はそう言って、俺の背中を強めに叩いた。