由良先輩はふしだら
「2人は栞ちゃんのお陰で、お互いの大切さに改めて気付けたんだから、それでいいじゃん。美子ちゃんだってきっと栞ちゃんを許すのに、栞ちゃんが自分のこと許せなかったら、ずっと前に進めなくない?」
「……っ、」
ほんっと悔しい。
日高先輩の言ってること、グサグサと心臓に刺さるくせに、同時に、ぐちゃぐちゃに絡まっていたものを綺麗に解くから。
「栞ちゃんみたいに素直じゃない子は、俺みたいにズカズカ土足で入り込むような男の方が合ってるんじゃない?」
ほら、すぐこういうことをさらっというから。
「私、チャラい男嫌いなんですよ」
「俺のどこがチャラいの」
保たれていた距離は、気付けば埋まっていて。
そう聞いてくる先輩の顔がすぐ真横にあったので、慌てて目をそらす。
「だからこういう─────」
呆れてため息混じりで、叱ってやろうと思ったら。
先輩が私の手を持って。
「……っ、ちょ」
手の甲に、優しく口付けした。
「こういうところ?」
顔を上げてニヤッと口角を上げた彼に、不覚にもドキッとしてしまった自分が腹立たしくて。
「大っ嫌いです!」
「真っ赤だよ、栞ちゃん。可愛いね」
「まじでうざいです」
『ありがとう』なんて、口が裂けても、言ってやらない。