由良先輩はふしだら
「美子もお疲れ。あれ、スリッパ」
隣に腰を下ろした先輩が、私の足元を見てそう言った。意外と気付くもんなんだなぁ。
「そうなんですよ〜!昨日、美術の時間に絵の具落としちゃって……持って帰って洗ったら忘れちゃって」
自分でも驚くほど、先輩の前では上手に嘘が出てくる。少しでも、何かを疑われたくないから。
「そっか、明日はちゃんと忘れずに持ってきなよ。スリッパ大きくてそれ歩きずらそう」
「え?そうですか?」
いや、確かに、パタパタ音は鳴るしちょっと歩きづらいなぁとは思っていたけど。
座ってる時にそれを先輩に指摘されるの、ちょっと嬉しいかも。私のこと少しは気にしてくれてるんだって。
「ほら、ちょっとそこ歩いてごらん」
由良先輩は焼きそばパンを袋から出しながら、目の前の踊り場を指差さす。