プレシャス~社長と偽りの蜜月~


私は雅人の腕の中でそのまま寝落ちしてしまい、目が覚めると外は黄昏時。ベットには私だけが残されていた。
慌てて身支度を整えて、1階に降りると奥さんがL字型のキッチンに立ってバーベキューの食材を切っていた。

「手伝います」と言ったけど、既に食材の準備は済んでいて、キッチンから通じるウッドデッキのテラスでは雅人と小林さんが一緒に炭をおこしていた。


「申し訳有りません。何も手伝えなくて・・・」

「いいのよ。朱音さん」

奥さんは笑って流す。

「それよりも・・・首筋隠しておいた方がいいわよ」

「えっ?」

「キスマーク」

奥さんは私の首筋に自分の頭に付けていたバンダナを巻いてくれた。

「さすがは新婚さん」

何と返せばいいのか分からず、曖昧な笑みで誤魔化した。




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