プレシャス~社長と偽りの蜜月~
それでもあの男だけは許せなかった。俺は男に朱音との別れと条件に多額の現金を渡した。

男は先物などに手を出して、湯水の如く俺の渡した金を使い、更なる借金を重ねる。

闇金にまで手を出して、その取り立ての厳しさに精神のバランスを崩してうつ病を発症した。


そして、二人は事故に遭った。


知り合いの刑事の話によるとブレーキ痕がないコトから無理心中と断定された。

追い詰められた男と共に命を絶とうとした朱音は自分だけ生き残ってしまったのだ。

でも、それが嘘か真実かは、朱音の失った記憶の中に封じられたまま。


朱音の言う通り、俺はその男よりもゲスなコトをした。

彼女が嫌っているのを知ってて、記憶喪失になった朱音に「俺は君の婚約者だ」と言って、結婚した。
そして、何度も彼女を抱いたんだから。





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