水晶の探偵
「確かに…君の言っていることは正しい。
警察としても彼女を容疑者から外すことは考えていないさ。
北宮知也に何かを吹き込まれて、という可能性もあるからな」
そうですね、とだけ呟き、辺りを見渡す。
パーティー会場からは先ほどの華々しさなど微塵も感じられず、緊迫した雰囲気が漂っていた。
せっかくのパーティーも殺人事件が起こったのでは、台無しである。
「警部!毒仕込まれていた場所が分かりました」
一人の男が、三田村に近づいてきた。
手には黒い手帳を握っている。
「被害者の体内から青酸カリが検出され、それと同じ物が、南城香恵が被害者に飲ませたアイスティーから検出されました」
「アイスティーだと!?」
「え?は、はい…」
三田村の反応に男はたじろいた。
右手で顎に当て考え込む。
これは難題に直面した時の三田村の癖だった。
「どう思うかい、響君…?」
「どうと言われましても…ね」
毒はスープではなく、アイスティーから発見された。
少し前に、香恵が口にしたはずのアイスティーから……