水晶の探偵
「…南城香恵に関する人間関係も調べたほうがいいだろうか?」
三田村もちょうど、響と同じ考えにいたったらしい。
「毒の在処がアイスティーだった以上、それも調べるべきだと思います」
「そうだな。さっそく調べてみよう」
そう言って近くにいた刑事に話し掛けた。
殺人が起こった場所を見てみる。
事件が解決にいたらないときは何度も事件現場に向かうべきだ。
初心を忘れてはいけない。
政人も言っていたが、響自身もその通りだと思った。
今でも初めて事件を解決したときのことは覚えている。
学校の友人達と旅行に行ったところ、泊まっていたホテルで殺人事件が起こった。
その時同じようにホテルに泊まっていたのが晶だった。
論理から攻めていく響に対して、人の心理面から犯人を割り出す晶。
反対の2つの推理方法が合わさる事によって、トリックを解き明かし、真実を証明する。
いつしか、2人で事件を解決するのが当たり前になっていた。
だが、晶の方は響と出会う前にも事件を解決しているらしい。
触れてはいけない無言の約束事になっているが…。